Treasure Reports
第一編 東北新幹線(東京−盛岡)
第十二章 那須トンネル

第四節 違和感の理由

大量の土砂のゆくえ

那須トンネルの各工区のうち、前原・針生・松沼の3工区は土捨場を共有していた。
工事誌p.625によると、「那須町黒田原中学校裏」だそうである。
これまでの取材では訪れなかった場所なので、行ってみることにした。


那須トンネル東京方坑口上を通る道路を東に向かえば、田原駅の南に達する。
そこから余笹川沿いに出ると、まず目に入るのは在来線の橋梁である。

ここから首を右にひねる。















そう、那須トンネル土捨場は、現在の那須町中央運動公なのである。

手前の道路は余笹川の堤防を越えるため多少盛ってあるのだが、公園はさらに分厚い土台の上にある。














橋を渡って反対側から全景を入れようと思ったが、いかんせん巨大すぎて入らない。



















当然のことながら、現在町が管理している土地であるゆえ、新幹線の何かと分かるようなものはない。
その新幹線は写真のような位置関係で通過している。

ちなみに在来線の列車内からは余笹川橋梁を渡る際に容易に眺めることが可能だ。












さて、表題の「違和感」の件である。
それは矢ノ目工区の斜坑を取材したときに感じたのであるが、読者の皆様はお気づきになるだろうか。
ちょっと次の2枚の写真を比較してみていただきたい。


これは矢ノ目工区の説明に使
った航空写真である。
斜坑口の位置が重要である。





























一方、これが現在の矢ノ目斜坑とその取り付け道路だ。
明らかに航空写真と食い違っている点があるのだが…

何がどうおかしいのか分からない、という方もいると思う。
何せ筆者自身も、工事誌p.655坑外設備平面図を見るまで確証が持てなかったのだから。





では、種明かし。
工事中の道路は斜坑口の西に取り付いているが、現在の道路は東側から延びているのだ。


取り付け道路は、いつの間にか東に移っていた。
航空写真と見比べると、わざわざ林の方を削り込んでいるようだ。
なぜ取り付け道路を変更したのか?それを説明する資料は見当たらず、謎である。

それでは現在、当時の取り付け道路だった場所はどうなっているのだろうか。

航空写真や地形図と何度も照らし合わせた結果、どうやらこの場所らしい。
が、何とも廃な光景である。

新幹線と関係の有無は定かではないが、残土処理業者の敷地のようだ。柵で囲ってあるものの、これといって管理されるでもなく、荒れ放題である。
クマザサはここでも猛威をふるっており、一歩たりとも踏み入れることはできない。
ここに直進方向に道路があったなんぞ想像の外である。

それでもこの場所だと分かったのは、もう一本の道路と四叉路状態になっているからであった。

現在の取り付け道路とはコーナー1つ分ずれている。

工事用道路跡がもう少しマシな状態なら、正攻法で斜坑に近づけるはずであるし、何よりその道路脇に、施工中にコンクリートを直接本坑へ流し込んだという「コンクリート立坑」なる物の存在を調査できるものと期待したのだが、これでは全くお手上げだ。

ちなみにこの工区、坑内の換気に調査坑を用いた(p.654)などとも書いてあり、それ以来筆者の心を惑わせている



結論。クマザサ最強

那須トンネル諸元表
名称 那須(なす)トンネル
全長 7030m
工区数 4
総工期 1972.7〜1979.3 6年8月
状態 供用:1982.6.23〜
摘要 斜1立2(現用:斜1)
名称 那須トンネル 終点
位置 工:172k000m 実:173k121m
工区 矢ノ目(やのめ)工区 2200m
工法 底導先進上半、サイロット他
工期 1972.7〜1975.10
状態 供用:1982.6.23〜
名称 矢ノ目(やのめ)斜坑
位置 工:170k020m 実:171k186m
取付 斜坑218m 交差30°勾配1/4 本線右
工区 矢ノ目(やのめ)工区 2200m
工法 底導先進上半、サイロット他
工期 1972.7〜1975.10
状態 供用:1982.6.23〜(非常口、保守)
名称 松沼(まつぬま)立坑
位置 工:167k618m
取付 本線上 10×10m 深さ24m
工区 松沼(まつぬま)工区 2240m
工法 底導先進上半
工期 1972.9〜1976.8
状態 廃止、埋め戻し
名称 針生(はりゅう)立坑
位置 工:165k547m
取付 本線上 10×10m 深さ15m
工区 針生(はりゅう)工区 2080m
工法 サイロット、底導先進上半、CCP
工期 1972.7〜1975.8
状態 廃止、埋め戻し
名称 那須トンネル 始点
位置 工:164k970m 実:166k091m
工区 前原(まえはら)工区 510m
工法 全断面開削
工期
状態 供用:1982.6.23〜


−終−


TreasureReportsの先頭へ
第一節 関東の北限に穿つ へ
第二節 事前調査 へ
第三節 現地へ行く(1)へ
現地へ行く(2)へ


トップへ