Treasure Reports
第一編 東北新幹線(東京−盛岡)

第十二章 那須トンネル
駅間:那須塩原−新白河 位置:東京起点166k091m−173k121m 全長:7,030m


第一節 関東の北限に穿つ




東北新幹線 那須トンネルは、栃木県福島県の県
境近く、全体を那須郡那須町地内に収める全長約7km
の山岳トンネルである。

このトンネルは、東二工(東京第二工事局)管内の最後
のトンネルであり、同時に1kmを超える最初のトンネルで
もある。従って東北新幹線においては、関東圏内で唯
一の長大トンネルということになる。

地形は、那須岳に代表される那須連山の活動によって
もたらされた広大な丘陵地帯である。延々と平坦の続い
関東平野に別れを告げ、交通にとっては最初の試練
を迎える。
ことに、並行する東北本線にとっては有史以来の難所と
して知られ、黒磯−白坂間は開業時の路線を放棄した
大規模な付け替えを伴って現在に至っている。国道4
東北自動車道ともにカーブとアップダウンの連続で
この場をしのいでいる。

トンネル上部は半分が林であるが、残りは別荘地と畑
作・稲作地になっており、このことはトンネル工事に際し
て様々な問題を生むこととなった。那須連山の火山灰
土、すなわちローム層が占める軟弱地盤によって工事
は難航した。

筆者はこの地をこれまでに三度踏査している。
着工から三十年以上の年月を肌で感じたことは勿論な
のだが、この場所にはまた別の雰囲気が漂っていた。
それは何とも言えぬ「わびしさ」であった。

















第二節 事前調査 へ続く

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