話がややこしい
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トンネルのキロ程情報を失念しているため、横坑の位置を割り出す手がかりは工事誌p.241にある図3-6-88しかない。この図、面白いことが書いてある。
横坑を掘ったはいいが、測量の精度を確保するために途中から測量坑を掘削し、基準線907.4mを確保したのだという。
で、その測量坑の本坑交点が43k878.5mなので、虫川大杉のキロ程44k880mから算出すると左のような感じになる。もっとも測量基準線は誤差が出まくりだと思うがご勘弁願いたい。
で、測量坑と横坑は坑口は共通であるから、交点は前後のどちらかにずれていると踏む。
当初考えていた道路(灰色の細い線)から離れている感じだが、取り付け道路があるのだろうか。 |
こういう割り出しを行う場合は、マピオンの「キョリ測」を使う。
−虫川大杉駅の位置を基準に測量坑交点の割り出し−
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=route&el=138/26/40.595&nl=37/9/6.644&scl=25000&env=0100&dist=
0iqE695B966440irl026B92729
−測量坑交点を基準に測量基準線位置を推定−
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=route&el=138/26/40.595&nl=37/9/6.644&scl=25000&env=0100&dist=
0irl225B925700irl126B9v971
−測量基準線から横坑位置を推定−
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=route&el=138/26/40.595&nl=37/9/6.644&scl=25000&env=0100&dist=
0irm024B927290irl225B96724
相当な不正確さを含んでいることを織り込み済みの上であるが、全くの暗中模索ではないのでかなり楽だ。
便利なツールはどんどん使っていこう。
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で、探索まで相当に引っ張るのかと思わせて裏をかいてみる。
何故かというと、探索過程の写真を全く撮っていなかったからである。色々と残念だ。
実際には、先述の道路から首をかしげるほどの坂道を上り、農機具の置かれた小屋を行き止まり(写真右方)に発見して引き返そうとした矢先の発見であった。すんでの所で見逃しは免れた。が、しかし、それにしても…。
いろいろと既成概念を崩される風貌をしている。
現役というからもっと端正な坑口かと思ったのだが、作りかけの粘土細工みたいな容姿は予想外であった。
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一次覆工に軽くモルタルを吹いただけのような簡素な作りだ。これで補強したというのだから工事中はもっとヤワな姿だったことになる。
気になったのは、正面向かって左側がめくれたように傾いていることで、想像だが測量基準線の「逃げ」だったのではないだろうか。
坑口前に新幹線斜坑のような厳重な囲いは存在しない。金網状の扉の仕切りのみで、しかも北越急行の施設である表示の類も一切見受けられなかった。
路盤にも草が生えていて、あまり使ってなさそうな感じである。
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ちょうど<はくたか>が通過したので全身に思いっきり暴風を浴びた後、虻がうるさいので退散した。虫が多すぎとは何の冗談か。
そのまま、取り付け元の道路を虫川大杉に抜けてみることにした。
地図でお分かりの通りほくほく線とはトンネル同士の立体交差となっているのだが、箱形断面の立派な物だったので工事時に施工したのだろう。
南側を出口まで併走するが、ここは開削区間であった。写真のようにトンネルの外壁(というのだろうな)が続く。
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そして出口となる。
意外なほど高い位置を走るのに驚く。道理で横坑が必要となるわけである。
この辺の線形は計画時から変わっていないはずなので、どのような形で開業しても基本的な外観はこのままだ。幸い、高規格をフル活用する役回りが巡ってきてよかったのだが、当初の輸送計画通り2両編成の気動車が関の山の場末のローカル線に堕していたとしたら、この規格はあまりに過剰だ。もっとも、未成で終わったら論外であった。
禍福とは測り知れぬ物である。
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トンネルのすぐ脇は、虫川大杉の駅名由来となる国指定天然記念物「虫川の大スギ」である。
推定樹齢は1000年とされているから立派なものだ。
虫川大杉の計画時の駅名は「沢田」という、失礼ながら何の変哲もない名前であった。奇をてらった珍妙な駅名は筆者はあまり好きではないが、こんな近くに由緒ある名跡がある場合に全くそれを考えないのもどうかと思うのである。
大杉の長寿にあやかって、ほく
ほく線も千歳のご加護があると
良いのだが。
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今回のおまけ。
はくたか通過時の横坑の様子である(AVI・35MB・67sec)。
風切り音は全部列車風によるものだ。通過音と同時に猛烈な吸い込みが始まり、筆者も危うく連れて行かれるところだった。
単線トンネルの高速通過における風圧は新幹線を上回るという。
吸い込みの時間が短いのは、虫川大杉方の延長が短いためである。
これまで取材した場所のほとんどで動画を記録しているのでもっとお見せしたいのは山々だが、Webの容量を考えると難しい。
リクエストがあればどうぞ。 |
次回は薬師峠トンネルです。順番的には鍋立山なのをそうしないのが筆者のいやらしいところ。 |