北越急行ほくほく線は、新潟県下の犀潟と六日町を結ぶ、全長59.4kmの第三セクター鉄道線である。
1997(平成9)年3月22日に開業したこの路線は、特急列車において国内狭軌鉄道としては最速の160km/hで運転されることで有名である。
元は旧国鉄が計画した「北越北線」というローカル線であった。
北越北線の計画、工事の経緯などについては、まつだい駅の記念碑や建設年譜、その他文献に記載されているので省略する。
レポートの折を見て、関連のある事柄に関しては記すことがあるかも知れない。
当時施工された柳津線(気仙沼線)・久慈線(三陸鉄道北リアス線の一部)などと同様に、目的地を可能な限り直線で結び、トンネルと橋梁を多用する典型的な「公団線」であった。特にこのほくほく線は山岳地帯が大半を占めることから、長大トンネルが目白押しとなった。
本章では、ほくほく線にある数多くのトンネルのうち、次の4つをレポートする。
・霧ヶ岳(きりがたけ)トンネル(虫川大杉−ほくほく大島)
・薬師峠(やくしとうげ)トンネル(まつだい−十日町)
・赤倉(あかくら)トンネル(しんざ−魚沼丘陵)
・鍋立山(なべたちやま)トンネル(ほくほく大島−まつだい)
ちょうど路線中のトンネルを長い方から4つ拾った形になるが、中でも白眉は鍋立山トンネル(線内No.2、9129.5m)である。ほくほく線の命運を左右してきたこのトンネルは、何と22年もの歳月を要して完成した。
待ち受けていたのは"前代未聞の地質"。ありとあらゆるトンネル工法が試行されては消えていった。
掘削のさなか、現場を映像に残した番組がある。それが当サイトが範とするNHKスペシャル「テクノパワー」であった。
その内容に衝撃を受けた筆者は、いずれこの地を訪れてみたいと真剣に考えていたが、開業12年目にしてその夢が実現した。
案の定、百聞は一見にしかず。数々の疑問、謎、そして発見が待ち受けていた。
番外編としてはいささか大スケールだが、しばしお付き合い願いたい。
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