Treasure Reports
第一編 東北新幹線(東京−盛岡)

第二章 上野第一トンネル
駅間:東京−上野 位置:東京起点2k194m−3k505m 全長:1,311m


第一節 真の起点へつなぐ


東北新幹線 上野第一トンネルは、東京都千代田区外神田秋葉原駅付近より地下に入り、上野駅までを結ぶ1.3km余りのトンネルである。

この区間は1991(平成3)年6月20日に開業し、大宮暫定開業から遅れること9年で念願の「起点乗り入れ」を果たすことになった。
永らく東北の玄関口は上野であり、ごくわずかに東北回送線を利用した東京始発の列車があった以外は、東京が東北本線の起点と匂わせる物は何もなかった。それが、有史以来初めて物理的に「0.0km」から列車が走り出すことになったのである。ただしそこまでの道のりは決して平坦ではなかった。

首都東京の核心部であり、特にこの上野駅前後の界隈は古くからの商店街・住居が密集する地域で、新しく利用できる空間は皆無であった。
計画では東京起点で開業することが確定していたものの、用地取得や工期・工費の問題から東京−大宮はなかなかルートが決まらず、折からのオイルショックもあって時期がずれ込み、ついに大宮以南は同時期の開業を断念してしまう。そして、この区間が正式にルート決定するのは、何と暫定開業と同じ年、1982(昭和57)年4月20日に及んでのことである。

上野駅は1977年に地下駅となることがひとまず決定したため、前後に急勾配のトンネルが配された。
総称は「上野トンネル」であるが、管理上、起点方より上野駅構内までを「上野第一トンネル」、上野地下駅を「上野トンネル」、そして北側の日暮里駅付近までを「上野第二トンネル」と区分されている。ちなみに、「上野第○トンネル」ではなく「第○上野トンネル」のように、名前と付番が逆になる記述も見られるが、本記であえて「上野第○トンネル」とする理由は後述する。

本章ではこの起点寄りの「上野第一トンネル」を取り上げる。「上野第二トンネル」については、第三章をご覧頂きたい。

都会の足下をどのように掘り進めていったのか。そして何らかの構造物は発見できるのだろうか。果たして。
















第二節 何を頼りに へ続く


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