カモフラージュ
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南坑口からお伝えしていくことにする。
トンネルが短いためか、こちらの顔に緩衝工はない。いわゆる「補強型坑門」という重厚なタイプのポータルである。
それよりも、この写真の左に見える不自然な影が気になる。
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んっ!?
道路の下に掘られた暗渠かと思ったのだが、途中で埋められて行き止まりである。
これは一体何だろう。新幹線の工事との関係はありやなしや。
形状的にはまるで側壁導坑のような感じなのだが、これによく似た造作の道路下トンネルを全く新幹線とは無縁の別の場所で見ており、その時期特有のものだったのかもしれない。
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北口の方は午後になるとほとんどが日陰になってしまう。
筆者が子供の頃に福島トンネル南口と同じくらいの頻度で連れてきてもらったことのある思い入れの強い場所である。
羽化直前のセミやオニヤンマが高架下でじっとしているなど、ほほえましい自然との接点がここにはある。
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こちらには短いアーチ型の緩衝工が付いていた。
それにしてもまた、銘板と被ってらっしゃる…。
サイズがそうだから仕方ないだろうと言われればそれまでだが、こういうところに融通のなさが現れていると思うのは気のせいだろうか。
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そして懸案の開削区間は一体どの辺だったのか?
トンネルの周囲や上部を通る道路を一通り探し回るもののさっぱり成果なし。
はて、どうしたものかと首をかしげつつ、目の前に広がる畑に視線を落とす。
すると…
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…あ。あった。
表面上何の変哲もない桑畑なのだが、1つ用地境界標を発見すると途端に見る目が変わる。
よくよく見れば延長線上にもう2つあるではないか。
でもこれ、境界標と全く関係なしに耕作されてる気がするのだが大丈夫なのか?
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道の反対側にもにょきっと生えている。が、やっぱり境界標が区切った境界そのものが全然見えない。
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うーん。
道、畑、桑畑、草地。
これまで境界標の内側の空間というのは少し特殊なにおいがしたのだが…。
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道路部分は少し盛土になっていて、その下も普通に畑だ。
何の脈絡もないような場所にまた境界標が突っ立っている。
なんなんだこの空間は…。
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上の写真の奥側をズームで撮ってみると、何だかとんでもない所に用地境界標と二級基準点があるではないか。
しかもやっぱり耕作地だ。
基準点に至っては畑のど真ん中で、地主にとっては正直邪魔なのではないか?
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さっきの道路脇の境界標から二級基準点に向かってライン読みをする。
うーん…
ここがトンネルですと言われても、用地境界標が立っていてもまるで信用できない。
というかライン上に電柱が立っている気がするのだが、土被りや地面の安定性を考えるとトンネルの真上に電柱は立てられないと思うのだが。
いずれにしても、開削するほどの区間が全く普通に土地利用されていたのはこれまでに見たことがなく、衝撃的であった。
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次回はいよいよ春一番の長大レポートです。 |