やっぱり素通り
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まずは北坑口。
安達ヶ原T・三合内Tとのわずかな明かり区間だが、防風・吹きだまり対策のためか背の高い壁で連続的に覆われている。
微気圧波対策の緩衝工がいた、非常にものものしい外観である。
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この類の坑口で銘板を見るのは少し苦労する。
…というか、重なってない?
工事誌にも一言書いてある。
「後から緩衝工を追設したので本来の坑門の意味をなさなくなった所がある」「今後は微気圧波対策を念頭に置いた設計とするべき」と。
金のかかるトンネルで、唯一人目に触れるのがポータル。煉瓦積み時代に比べれば簡素だが立派に造ってあげたいという工事関係者の思いは不変のようだ。
折角の顔を鉄仮面で覆ってしまうのが忍びなかったのだろう。
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北坑口の上部。
上半開削で施工した部分である。
奥にはどう見ても跨線橋の三合内トンネル(44m)、続いて山の稜線のあたりに安達ヶ原トンネル(次章紹介)となる。
天井部の地面には二級基準点(写真中央)が埋め込まれている。
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こちらは南坑口。
緩衝工のないすっきりとした外観となっている。
短いトンネルでは緩衝工は片側だけ設置という箇所が少なくないが、それで効果はあるのだろうか?
また、もうすぐ始まる320km/h運転に向けて、緩衝工を増設するという話も聞く。トンネルの顔はまた変わるのかもしれない。
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南坑口を出てすぐの道路はこんな感じで掘り下げられている。
福島トンネルの章を手掛けた際、「明かり区間の諸問題」というのがあったが、こういう造作のことを指すのだろうか?
もし福島トンネルが当初の設計通りに完成していたら、例の区間はこのような外観を呈していたことになる。
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南側の明かり区間も短く、すぐ隣の第一粟須トンネルとなる。
このトンネルは、仙台工事局管内でNATMを採用した数少ない例である。管内88トンネルのうち、NATMによったのはたった3トンネル、それもこのトンネルの南に続く第一・第二平石トンネルで全部である。
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で、ようやく交差地点に行くわけだが、
最初から疑って掛からないと分からんでしょ、これは。
明らかにラインが出ているのは確かなのだが、これを道路を走りながら確認するのは困難であった。都合三往復ほどしてようやく特定したが急停車するわけにもいかない。
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近寄ってみると、やはりあった。
これはこのラインが軌道中心線と考えていいのだろうか。
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道路を挟んだ北側には、用地境界標が延々と続いていた。
開削したのは道路部分の46mだけなので、残りは区分地上権設定によるものと思われる。
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振り返って交差部分を東京方に写す。
全断面開削を行ったのはまさにこの写り込んだ範囲ということになる。
十文字トンネルや新城舘トンネルのようなあからさまさは無かったが、地面に生えた無数の「標」がトンネルの姿を浮き彫りにしていた。
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次回で小ネタ集は一区切りです。 |