速攻で結末
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なんと、それは早くも一発目で見つかってしまった。
実のところ、私がもっとも有力視していたのは二つ目の候補だった。
この風景を見ながら普通に運転し、やっぱり何もないじゃないか、と素通りしかけたのだ。
海は全く見えない。
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上の反対側、つまり西に向いて写したものである。
本当にただの田園風景である。
その何でもない道から分岐し…。
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道に並行する小川を、これまた特に「それらしい風」の感じられない橋で跨ぐ。
そして…。
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…。
何でもない田圃道から分岐した、何でもない橋を渡る何でもない道の終点に、何でもなくない構造物はあった。
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近づいてみる。
明らかに新幹線関連施設の門扉、そして厳重に取り囲む柵。
敷地の広さの割に、物置程度の大きさしかない建屋が二つ。
この構造物の正体が、門扉に表示されている。
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「相馬海岸地震計」
これがこの施設の名前である。
工事誌には「海岸検知点」と記されている。
いずれにしても「海岸」というには疑問符が付くほど海には近くない。
おそらくその性格上、強固な岩盤に感震器を直結するため、安定した場所を選んだのだろう。
一応表示されているものではあるが、念のため電話番号は伏せておくことにする。見たい人は現地でどうぞ。
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で、やっぱり、案の定、これ。
線路ないってば。
トンネルに直結する斜坑の入口なら、まだ理解できなくもない。が、この場所からだと一番近い新幹線線路まで50kmは離れている。とはいえやはり、柵の中は「特例法」で守られているのだ。
この地震計が防護するのは、新矢吹SP−新小鶴沢SP間の151.5kmである。福島県沿岸には他にいわき市平にも存在するという。
地震計がP波を感知すると即座に総合指令へ通知し、同時に防護区間の全SSに検知信号を送ってき電を停止させる。列車は電源を失うと自動的に非常ブレーキが掛かるので、停止した頃にS波が訪れるという仕組みである。 |
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へぇ〜こんな所に「守護神」があったのか、と思いながら、入ってきた道を引き返す。
と、その路肩に妙な物を発見した。
一見すると普通の用地境界標なのだが、頭が尖っている。まだ水が満たされていて稲の成長たけなわの水田に落ちないように気をつけながら反対側に回り、無理な姿勢で写真に収める。
「エ」の記号が明らかに鉄道の物であることを示してはいるが、
…引照ってなんだ?
調べてみると、「引照点:用地境界標が設置できない特別な場合に、後で境界標を復元するためのもの」であるらしい。
「特別な場合」って何なんだろう…。
浜風吹く炎天下の聖地は、また新たな謎をもたらした。 |
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ということで、最終的な位置は左のようになる。
所在地は、枠内から外れているものの、確かに「福島県南相馬市鹿島区南柚木字宮前」であった。
くれぐれも、この周辺でナマズを飼ったりしてはいけない。
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